向田邦子「父の詫び状」
2009 年 12 月 7 日 月曜日土日と義父の一周忌で帰省。身支度をしていたらテーブルの上に
妻が買ったらしきこの本があったので電車の中で読んで見ました。
向田さんの作品は、初めてでしたが滅法面白く1ページで夢中に
なってしまいました。家族の話です。明るく屈託がないけど凛とした
厳しさが一本通っている。情景が浮かぶような筆遣いだし展開が
なんとも鮮やかです。でも一番惹かれるのは、登場人物の面々が
なんだか懐かしい。向田さん家は、上流家庭の部類に入るでしょう。
うちは事業に失敗した貧乏家族のジタバタなんですけど、被るキャラが
多いいのです。同じような暴力的なワンマン親父とビクビクしながらも
冗談ばかり言っていた女・子どもたち。当時は、軍隊の栄光をずっと
引きずりながら貧乏なのにプライドばかり高くて威張っている父が
厭で厭でしょうがなかったけど、それもいなくなってしまえば、あの時の
ジタバタが今の私には、とても大切な宝物に思えてしまいます。