静かな戦争映画
2024 年 1 月 26 日 金曜日小津の映画を見ているといつもイヤーな気持ちになっていました。
どうしてだろう?とずっと不思議でした。固定されたカメラの撮影位置
は、兵隊の視座、会話の復唱は、命令下達の兵隊の復唱。全体に流れる
のは、やり遂げた事への静かな郷愁、諦念、哀惜。この感じは私の父も
持っていた。この立ち位置がずっと私は嫌だった。「命令を遂行しただ
け」で逃げ果せるほどそんな軽い行為ではない。作者の田中真澄さんも
南京の近くにいたけど小津は係わっていないと弁護じみたことを言って
いるけど、上海から南京そして重慶へどの様な事が行われたか、亡くな
る2週間前の父からも訊いている。外地から兵隊として帰ってきた人達
がみんな持っていた諦念。殆ど人たちは、悲しそうな眼をして下を向い
ていた。小津だけがあのように描いた。それが許せないのかも知れない。
軍国主義国家の人々からの称賛は、とても良く解ります。去年の年末に
平山さんの「小津安二郎」の記事を読んでどうしようかな?と迷ったけ
「小津安二郎と戦争」の方を買って読んでいました。父の世代が残した
心の澱からずっと逃げられないでいる。