すばらしき世界
2021 年 2 月 15 日 月曜日前科10犯の役所広司が色男で正義感にあふれているのは映画ですからね
と云ってしまえば身もふたもない。リアルな前科10犯はそんなに感情移
入は出来ませんから、しかし役所広司だから映画になった。
小さな時に生存を脅かされるような育ち方をすると脳の損傷が起きます。
短絡的に全てが生きるか死ぬかの判断しか出来ない様になります。キレる
とはそう云う事。頭の中は見えないから外見では判らないけど、外見以上
にとんでもなく違っている。一昨年「ケーキを切れない子供達」が売れま
した。ここの問題を掘り下げて行くとこの手の事での罪と云う概念その物
が消滅するので日本では無視する事になっています。刑務官や弁護士、福
祉の人達はある程度理解しています。一番よく知っているのがやくざの親
分さんです。不良の世界に居る人は、男でも女でも視線が粘っこい。相手
の間合いに入ると絡みつくような目で確認してきます。全てが命がけなん
です。バリアを貼ってたこつぼで生きるより遥かに人間的です。見ざる言
わざる聞かざるの生き方と全てが命がけの生き方とどっちが面白いでしょ
う?すばらしき世界とはそう云う事なんだろうなとおもいます。泣いたり
笑ったり良い映画でした。善い人の前科10犯だから安心して観ていられ
ます。「善人なおもて往生す、まして悪人おや」