藤原旅館 ムンク講義

2018 年 12 月 24 日 月曜日

藤原新也さんのサイト「CAT WALK」の主催でムンクのリアル講義が大久保

でありました。藤原さんのファンが約120人が全国から集合、コアなファ

ンは凄いです。私はその濃さ故色々な催しが在りましたが今までずっと

不参加でした。さて、写真家の藤原さんがムンクと云うのは知らない方

にはよく理解出来ないかも知れませんが、CAT WALKの会員には藤原さん

の絵心と云うのは、当たり前すぎる自明なのです。芸大の油絵科に入っ

ていましたから。雑誌に請われてムンクの絵画批評なども書いていたこ

ともあります。現在上野で「ムンク展」やっていますね。その関係で先

日のNHKの教育テレビの日曜美術館に呼ばれてムンクの解説行いました。

その時ムンクについて喋った重要なことの殆どをカットされてフラスト

レーションが溜まってしまったと云うのは、ご本人の弁ですが忘年会と

クリスマスイベントのようなものをやりたかったと云うのが本音だと思

っています。私はムンクはさほど好きではありません。分裂病の人の絵で

あると思っています。藤原さんがムンクを取り上げると言う処に興味を持

ちました。ムンクと云えば叫びが有名です。一般的な解釈としては橋のた

もとで近代化に押しつぶされそうになっている自我または自然が押しつぶ

されそうになっている慟哭だと云うのがあの絵なのです。耳を押さえて叫

んでいるように見えます。然し藤原さんが云うには、ムンクは写実の人で

実際にあの橋の近くには大きな嫌な音を出す製材所があり、殆どの人があ

そこを通る時には、耳を押さえながら歩いていたというのです。基本的に

はどのような理由で耳を押さえていても絵の意味はあまり変わらないので

すが。あの橋のところに住んでいた老人が証言しているそうです。産業革

命から機械化に押しつぶされていく自我の崩壊、結核の蔓延。様々な話の

繋がりの中で近代がどのような病理を生み、社会を変えていったかと云う

講義は改めて勉強になりました。そして何故今という時期にこのムンク展

をやるのかと云った企画の意味を理解しました。第4次産業革命のこの時代

に身体が消滅していく方向の中でどのような病理が出現して何が壊れていく

のか?家族が壊れ社会が消滅していくこの先に新たなムンクはどのような絵

を描くのか?

歌のサービスの藤原さん

自画像(旅館の前で客を待つ藤原さん)

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