怪物君と伯爵夫人
2016 年 7 月 19 日 火曜日先週の日曜日の新聞の読書覧に週刊ベスト10が載っていて
なんと総合部門4位にあの吉増剛三さんの「怪物君」が入って
いるのでした。4000円の詩集です。
先日、偶然にも吉増さんの本のご入稿があって、担当の方と
「今きてますよねぇ~」などと話しながら、新聞の読書覧総合
4位の話をすると「マジですか」と驚かれます。で、週刊4位と
云っても何らかの縛りがある筈なのですが、その時思い出せ
なかったので古新聞を漁ったのです。
そしたら、東京堂神田神保町店でした。ここは、インテリ元さんの
間では有名なところです。去年「1937」がずっとベスト1でした。
ジュンク堂はずっと仕入れなくてずっと隠し続けていた。リブロも
ずっと仕入れなかったけど、秋になって書評が出始めたらやっと
置き始めた。それがそれが「怪物君」ですよ。立ち読みしたら判ります。
2位が蓮實重彦先生の「伯爵夫人」です。「怪物君」が「伯爵夫人」
抜いたらそれこそ天地ひっくり返る。
中学校の時、図書部長仰せつかったことがあって町の本屋に
仕入れに行ったことがあります。「戦争を知らない子どもたち」や
リチャードバックだの。判りもしないのに「吉本隆明」を入れたりして
意気揚々と凱旋気分で帰ったは、良かったが次の日に職員室に
呼び出しがかかって、4・5冊の本を前に全教師の前でお小言を
食らいました。「ファニーヒル」「バルカン戦争」「我が秘密の生涯」
「HER」などなど。まあ、所謂、外国もののエロ小説です。外からは
判らない様な装幀ではありましたが、そこはそれ、我々中坊より
遥かにその手の事に通底している先達、ご熟練いともたやすく
見抜かれてしまったのでした。
「伯爵夫人」半分読んでなんか飽きはじめてきました。
半分しか読まずに感想を申すのもなんですが、「老大家の御手淫」
三島賞受賞で「おやめなさい。冗談にも程がある。」というのは、
その通りのご本人の感想なんだと思います。