仕事納め
2012 年 12 月 30 日 日曜日先週 リョウビの菊4の4色機を出しました。シンガポールで
第2の稼働が始まります。オンデマンド印刷機を導入してから
あまり廻らなくなってしまいました。年賀状のオフセット印刷は
今年が最後。来年からはオンデマンド機での対応になります。
毎年、11月、12月は年賀状を印刷していましたが、オンデマンド機を
導入してから刷り上がりに不満を感じていました。
お年玉付き年賀状は非塗工紙のためオフで印刷すると紙の中に
インキが染み込んでしまい、色が褪せた感じになります。その点
オンデマンド機で印刷するとトナーが紙の表面で固まりますので
鮮やかな発色で仕上がります。11月に導入したオンデマンド機は
特別鮮やかなトナーを使用しておりますので、特に華やかな印象に
なります。
今日は、コモリ A-37 全版4色機の搬入です。
ハイブリットUV 速乾タイプの印刷機です。印刷してすぐに
製本工程に回せます。傷がつかない。パウダーがいらない。
ヴァンヌーボなどのラフグロス紙がすぐに後工程に回せるのが
最大の長所です。私が強力に推薦しております嵩高微塗工紙も
すぐ乾いて出てきます。
今年は第2工場を作ったり、両面機やオンデマンド機をすべて
入れ替えたり攻めに攻めた1年でした。
来年は、もっともっとお客様のおそばで一番お役にたてる印刷屋を
目指します。
本年のご愛顧 誠にありがとうございました。
来年も倍旧のお引き立て心よりお願い申し上げます。
忘れられた人々
2012 年 12 月 3 日 月曜日1950年 メキシコ製作 ルイス・ブニュエル「忘れられた人々」
メキシコシティの底辺で生きる「忘れられた人々」を無慈悲に
冷酷に活写した傑作。最近たまたま、DVDを衝動買いしてしまい
久しぶりに見たのですが、何と牧歌的なことか1950年のメキシコには
まだ純粋に善悪の線引きがしっかりなされているように思います。
現在はもっと悪魔的に残酷で寂しく冷たいものになり果てている。
ハイポのことをずっと考えていると「善人なおもて往生す。まして
悪人おや」の親鸞を思います。悪の権化のハイポこそ成仏して
ほしい。でなければ救いがない。これだけ必死に生きているのですから。
スズキ サト 陶器展
2012 年 12 月 2 日 日曜日モノクロ写真
2012 年 12 月 1 日 土曜日尾仲浩二氏のモノクロ写真集 「slow boat」
モノクロ写真の製版技術で四苦八苦しております。
家からモノクロ写真集を持って来て、それぞれどのような製版を
しているのか、100倍のルーペで毎晩研究しております。
尾仲さんのslow boatは凸版さん専門家チームが特別に
製版したもので、独特の製版をしています。墨とグレーの
2色刷りです。日本の田舎町のノスタルジックな雰囲気を
独特な空気感に作り上げています。晴れている空にシャドウが
入っているのに道路の縁石は真っ白なハイライト。
全体的に中間から明るい部分にたくさんグレーが入っています。
でもとても効果的に時代のざらつきのようなものが出ています。
これこそ、印刷屋の仕事だと思います。
実は現在モノクロ製版の校正を見ていただいてから仕事をお受け
するかどうかの試験を受けることになっております。
会社の書棚にこの本が好きで飾ってあるのですが、うちに
お出でになる方は森山さんと関係ある方がとても多いようです。
福山えみさんの「月がついてくる」は私のとても好きな写真集の
一つです。すべての写真が塀越し、格子越し、金網越し、必ず
何かの物陰から撮られています。近づくのが怖い異邦人の
ようですが、私には6歳で亡くなった姉のことを想起させます。
そして人が誰も写っていない。これはひょっとして私かもしれ
ませんが、とにかく向こうが怖いのか、懐かしいのか、この距離が
とてももどかしいのですが、気持ちを小さく揺さぶります。