古河栗田商店

2010 年 9 月 23 日 木曜日

チリン、チリン。フランス製のアンティークの自転車ベル。

自転車に着けても鳴らす事はないでしょう。

車のクラクションと同じで、自転車だって歩行者に向かって警告音を

鳴らす権利なんかない。

でも初めて自転車に乗れるようになって、一番うれしかったのは、

このチリンチリンなんですよね。

かみさんは、これを食事の合図にするゆうてますが、私としましては

「ご用意ができました」と呼びに来てくれたほうが嬉しい。

茨城の古河市に自転車の古い部品を売る店があるのを知り訪ねました。

狙いはリアディレーラー。後ろのギアの変速機です。

ヨーロッパの中古の部品がたくさんそろっています。

同じものが沢山あるので、程度の良い物が選べます。カンパかユーレーで

決めようと思っていたのですが、結局買ったのは、全然知らない「ゼウス」

私、ヴィンテージ物の自転車の完成車が売られているのを実際に見たことがなく、

栗田商店で並べられている自転車には、改めて目を洗われる思いです。

ヨーロッパのマニアの人が手放したものが多いだけに、完成度の高さが

違います。歴史と厚みが違う自転車文化の成熟度を垣間見た思いです。

でもやはり基本的に、栗田さんの目であろうと思います。栗田さんは基本的に

自転車乗りではありません。4・5年前まで洋服屋さんだった人です。商店街の

普通の洋服屋さんでしたが、量販店や、セレクトショップやブランド店に押されて

ニッチモサッチもいかない状況になり商売替えを考えていた時、北海道の弟さんに

薦められて始めたとのことです。弟さんが自転車愛好家の方で知識があったに

せよとても巧いニッチの商売だと思います。あまり多くない部品の数とブランドの

数。あとそれにプラス年式。趣味性が高いゆえの商品単価、それからもうひとつ

回転の速さ。風と走る爽快感に憧れて大枚叩いて買ってもすぐ乗らなくなる

親父たち。中古車市場は、これからも狙い目です。モノの価値が違うと思います。

今の自転車は、ほとんどオートメーション化された台湾などの工場で作られて

います。80年代のコルナゴは、イタリアで職人の手によって一つ一つ手作りで

製作されておりました。手作り品は細部への細やかな趣向が違います。

まだグローバリズムの席捲を受けていないローカルな美学が生きていた時代の

証です。栗田さんは、自転車をばらして勉強して、パソコンを覚えてホーム

ページを作り、ヨーロッパからマニア垂涎のヴィンテージ部品と自転車を輸入して

販売をはじめ、今年で3年目だそうです。

栗田さん自転車歴が浅いだけに驕りがない。とても謙虚です。

でも商品チェックは、ちゃんとしてから店頭に置いているようです。

自転車やと云うのは商売人と云うより職人さんみたいなところがあって、

ちょっと客を値踏みするようなところがあります。

だからネットで栗田さんのところのような店が繁盛するのかもしれません。

でも大きな違いは、やはり目利きだと思う。

メカニックとブランドだけで満足している店と違い色や形の完成度の高さを

見る目がないとお話にならない。

この店の中一番輝いていたコルナゴ。40万。トップチューブ59cm。

ほとんど新品。身長が180Cm以上ある人だったら間違いなく買いです。

カンパとコルナゴオリジナルがついています。

ロッシンのフレームの中にブレーキワイヤーが通っていないのが

残念ですが、ハンドルの革のカバーがマニア心をくすぐります。

これも綺麗でした。

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