小川徹と云う人の随筆
2020 年 7 月 7 日 火曜日ある夏とまった姫路のホテルの女中さんと昼間お城の下の安ペンキの
宿でデータしたとき、彼女は事前にいや服を脱ぐ前に、椅子に座って
じっとしているので不安になってせかしたが「待って。煙草を一本吸
わせて。この気持をしみじみ味わいたいの」といった言葉は一生忘れ
られない。彼女は不幸な結婚の離婚後二年、はじめて男と接すること
になったのだった。嬉しいときには歌なんか間に合わない。一本の煙
草が必要であった。
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昨日、「タッチミーノット」について書いていて思い出した「あの頃」
にあった武田百合子さんの引用。とても味わい深い文章です。異性を
見る時スタイルが良いとかチャーミングだとか外側について言いがち
ですが、本当の性交は皮膚の下にある性衝動や置かれた状況がお互い
を突き動かす。行きずりでも嬉しいと云うのが悲しい。煙草が要る。