印刷業の未来

2019 年 5 月 31 日 金曜日

池袋はフクロウをイメージキャラにしています。区長が本屋の親父だった

ので、プッシュしたのかもしれません。私も好きな動物。フクロウの好物

が蛇だからと云うわけではありませんがごく最近知った事実。蛇の舌は二

つに分かれていて、ゆっくり進みながら舌を口からチョロチョロ泳がせな

がら進んでいきます。これは、臭いを嗅いでいるそうなのです。舌で匂い

を嗅いでいる。鼻もちゃんとあるのですが、舌で別の臭いを嗅いでいる。

羨ましい訳ではありません。だけどそう云われてみたらなるほどね!と思

います。さて本題。3月にペーパーレス法案が通ってから業界は、文字通

り、ペーパーレスに向かってまい進しています。去年秋から始まった紙不

足は、製紙メーカーの機械の老朽化などのメンテナンスもありましたがそ

れだけでは無い流れが有りました。先ず去年の4月に例年にない大きな売

り上げ減が有りました。機械のフル稼働でそれ以上稼ぐ事が出来ない高止

まりで何十年もやって来たのがイキナリの3割減。その時、何かが始まっ

たと青くなりました。なんとなく様子を見ながら10月、やはり売り上げ

が下がりました。10月は年間売上2位か3位の月です。11月に手に入

らない用紙が出始めて12月に1月から紙代20%の値上げだという通知。

1月になって実際に額面通り値上がりが在って、同時に機械メンテナンス

の年間予定表等が我々印刷業界にも出回るようになりました。そして3月

ペーパーレス法案が出てその全貌が明らかになりました。だいぶ前からス

ーパーフライデー、働き方改革、ノウ残業デイ、副業の推奨など政府は人

々の自由な営みに口を挿んできます。経団連やトヨタに終身雇用の廃止な

どを云わせます。労働人口が減っているのか労働者は余っているのか?大

企業では、大幅なリストラを延々とやっています。そのくせ外国からの労

働者は入れようとします。いま日本では何が起きようとしているのでしょ

うか。ガラパゴスののんびり屋は世界の動きが全然見えていないのでしょ

うか?ドイツで8時間で終わる仕事を日本では12時間かけてやっている

と云います。基本給は経営者が決める給料、残業は労働者が決める給料?

私が30年前にやっていた仕事の質と今を比べると量は凄く増えているの

ですが、労働者の仕事の流れはあまり変わっていないのですね。エクセル

とネット販売が若い女性の仕事を奪ってしまいました。パソコンとネット

は多くの労働者の仕事を奪っています。しかしそこに頑強に抵抗しようと

云うのが将来に不安を抱える労働者です。ペーパーレスとセットになって

いるのがキャッシュレスです。キャッシュレスの割合は韓国が90%、中国

が60%、カナダ・イギリスが55%、オーストラリア・スウェーデンが50%

アメリカが45%、フランス・インドが40%。そして日本が19%、ドイツが

15%です。日本とドイツが極端に低いですね。現金が大好きと云うより確

実な物しか信用していない。70年前に手痛い目に合いましたから。日銀

が発行している通貨は115兆円ありますが、このうちの50兆円がタンス預金

です。いくらゼロ金利だとはいえ、銀行さえも信用していない。あともう

一つ大きな統計が有ります。マイナンバー取得率13%と云う事。ここのマ

イナンバーとキャッシュレスを進めるためのペーパーレスなのです。この

三つを進めるとどうなるか、印刷関連の労働者を他に動かすことが出来ま

す。公務員を大幅に削減できます。レジ係や銀行マンがいらなくなります。

税務署員もいらなくなります。新紙幣を出すことによって50兆円の在り

処を白日の下に晒すことが出来る。マイナンバー取得率13%とキャッシュ

レス19%とタンス預金50兆円に日本人の面従腹背ぶりが窺がえます。しか

しそう計画通りに事は運ぶでしょうか?10年掛けて変わらなかったモノが

そんなに簡単に変わるとは思えません。ネットのバラ色の未来がしっかり

描けないうちに何やら怪しい胡散臭さが垣間見えだしている現状に何だか

祭りの終焉を感じているのは私だけでしょうか?


鬼海弘雄 二つのペルソナ

2019 年 5 月 30 日 木曜日

先月出た「ペルソナ最終章」と15年前の「ペルソナ」

地続きの様で繋がっていない二つのペルソナ。だと私は思います。

しかしこの断層は、何に在るのでしょうか?

奥山さん 印刷立会い

2019 年 5 月 30 日 木曜日


来月荻窪titleさんで、始まる「庭とエスキース展」のブックレット写真

集の印刷の立ち会いでおいで頂きました。一日目はみすず書房の方にもお

いで頂き色々なお話をお聞きしました。印刷はデータの段階で殆んど創っ

てしまったので割と簡単でした。b7ナチュラルの黄色と赤がどれぐらい

浮いてくるかが、少し心配でしたが、弁造さんの酒やけの顔にはとても合

っている感じでした。ご飯を一緒に食べて色々な話を聞きました。みすず

書房さんと奥山さんを繋げたのは鬼海弘雄さんです。そういえば「インデ

ィア」は、みすず書房だったでしょうか?鬼海さん、「弁造」を見てから

毎日、朝早くに奥山さんに電話をくれるそうです。色んな事をお話しされ

るそうです。奥山さんを勝手に弟子にしているみたいですね。羨ましいで

すね。アプローチは違いますがお二人は同じことをされて居る様に思いま

す。奥山さんにも云いましたが、私にとって一番重要な写真集は「ペルソ

ナ」です。ストーカーの様に鬼海さんの事を見ています。その鬼海さんが

惚れこんで居る奥山さんが気にならない筈はありません。この感覚の共時

性の様な繋がりながら広がって行く事の不思議さを今感じています。

マロニエ 高木康行 写真集

2019 年 5 月 28 日 火曜日

アルル国際写真祭で高木さんの「マロニエ」が入選しました。

この本は去年、パリフォトに合わせて売り込みのために少部数作った

物です。いよいよ、出版に向けて漕ぎ出せそうです。

昨日、イニュ日記で書いた「葬儀の写真」は、この本を意識して撮った

写真です。写されない事、消えていく瞬間、敢えて残す行為。

葬儀の写真

2019 年 5 月 27 日 月曜日

【アブナイ、あぶない、危ない写真」kotobaの秋号。去年買ってパ

ラパラと捲って理解したような気になってほっぽいていたのを昨日

じっくり読み直しました。それで思い出した事。

10日前妹の義母が無くなって告別式に参列したと云うのは書いた

と思いましたが、そこで私は在る事をしました。結婚式のカメラマ

ンよろしく、ずっと葬式のあらゆる場面の写真を撮りました。お坊

さんのお経の間は控えましたが。カメラは姪の夫のC君のです。C君

は、喪服の首に愛機のソニーのカメラをぶら下げてやって来ました。

次期社長でも有り、3年間お婆さんとの関係もしっかり造っていた

ようでしたので、C君が葬式の写真をバシャバシャ撮るのは少しまず

いだろうと慮っての事でした。私も平気で在った訳ではありませんで

したが、家族親族よりは熱は低かった。1月と5月にしっかりお別れ

の挨拶はさせて貰ったと思っていました。C君は異郷の文化の違う処で

仏教の葬式はある意味でとても興味のある行事だったと思います。写

真論なども少し前に話していました。日本においては葬儀で写真を撮

る人はいませんね。タブーですね。ですから、葬儀の写真と云うのは

殆んど無いです。私自身、母の時も父の時も写真を撮るという事さえ

考えもしませんでした。でも今回写していて思ったのですが、みんな

の泣き顔が美しいのでした。出棺の前の遺体の棺桶の中に花を入れて

それぞれ別れの挨拶をする姿、悲しみは一気に燃え上がり、その顔は

くしゃくしゃになっているのにも拘らず、何と云う美しさなんだろう

と思いました。良い葬儀だったのです。孫の姪がおばあちゃんに手紙

を書いてそれを読み始めた時ぐらいから、そこら中でハンカチを手に

する人たちが出始めて、改めて故人の人徳が偲ばれ、昔の思い出が甦

って来たのでしょう?泣き声の激しい処に寄って行ってバシャバシャ

シャッター切る私は、えげつないお調子もんです。実際「あの人は、

何なの?」と云う難詰も私の知らない処で出たと云います。

でも撮りながら、私が悪者になってもこの今は絶対価値のあるものに

なる筈だと確信していました。良い写真は撮れたと思いますが、私は

多分「アブナイ人」と云うレッテルを貼られた様な気がします。

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