TABF 銀座 ソニーパーク

2019 年 3 月 25 日 月曜日

イニュニックの事を知っていてお出で下さった方が多かったです。サンプル

帳は、500円で売りましたが完売でした。本日から800円プラス送料

200円で売っています。ご来社の方は、800円です。入口の一番目立つ

場所だったせいか本はとても売れました。日曜日の午後には尾仲浩二さん

が売り場に立ってくれて大きな人の輪が出来ていました。少し大きくなった

イニュニックが実感できた二日間でした。本日、もう一つ嬉しいニュースが

ありました。一昨年の暮れ出版した「原民喜童話集」の中の文章が今年の青

山学院大学の入試に使われたそうです。京都の赤本を出している処から掲載

の依頼申し込みがありました。また売れ始めるかな?と期待しています。

こう云うのを「春が来た」と云うんですね。東京アートブックフェア―銀座

は後2週あります。まだまだこれから盛り上がって行くTABFです。


映画「ローマ」

2019 年 3 月 25 日 月曜日

オープニングは上手かった。タイルだけがずっと定点で映っていて何かを

こすっているブラシの音が聞こえています。少しして水が流れてタイルが

濡れた瞬間、鏡となって天井に空いた明り取りの空に小さな飛行機が飛ぶ

のを映します。何回か水が流れて洗濯場か浴室を想像させながらカメラは

水平に起き上って全体を映します。そこは唯の駐車場で少し大きなバケツ

とホースが在るだけで散々流れてきたたっぷりの水の存在が嘘だとばれて

ここが私的には、少しがっかりな演出で少し身を乗り出していたのが引い

てしまう処だったのです。これをわざと入れたのか、このような計算が出

来ない脚本なのかは、よく判らない処。1971年のメキシコの水道の水

圧がめちゃめちゃ強かったかどうかは判りません。メキシコのマフィアの

拷問で良く出てくるのが縛り上げた人間の口に水道のホースを加えさせて

延々と水を飲ませると云うのが在ります。乾いた土地で水は貴重品です。

この水と云うのが最初の伏線で置かれます。

ローマ帝国はいろんなものをアウトソーシングして滅亡した国です。ドラ

マの主人公が召使い。それが判っているにもかかわらず、主人公らしいド

ラマを期待するのですね、私たちは。でも、召使いの生活にはさほどすご

いドラマは起きない。いや、それなりに起きる事は起きるのです。でも普

通として見てしまう。1971年は、メキシコでも学生運動が吹き荒れて

時代が大きく動き始めたところだと思います。この映画の凄さは、やはり

セットですね。車、道具、衣装とんでもなく凝っています。とてつもなく

細部にこだわっているし生活感を再現している。しかしこの生活感と云う

のが召使いのインディオの女性の言語なんだと思います。だからリアルな

セットが必要だし、モノクロにせざるを得なかった。研究者のパパが女作

って家を出て行く。ママがパパの代わりに働く。クレオが家の中心になる。

ラストの前にその様な事件が起きます。少し退屈、だけど最後のところで

腹の底から何か得体のしれない感動が沸き起こってくる。このような不思

議な物で涙したのは初めてです。今朝、新聞の「折々のことば」に「人は

ひとりきりで幸せになる事は出来ない」と云うのが在りました。宮沢賢治

の云い方で「世界中の全ての人が幸福にならないうちに自分自身が幸福に

なる事は無い」と云うのが在ります。しかし、それにしても「ローマ」

と云うタイトルが・・・・・・・。

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