喋る力、聴く力

2018 年 5 月 30 日 水曜日

目白駅から少し遠いのですが、山手通り沿いにある美容室「レック

ショップ」は、もうかれこれ20年ぐらい頭をお願いしている散髪

屋さんです。一応店は美容室。美容室に行っているとあまり言いた

くないので私にとっては散髪屋さん。ここは、個性的な客が多いと

ころです。古道具坂田の坂田さんだったり、ライターやプロデュー

サー等々。

ここに先日出した「未明02」を置いているのですが、坂田さんに見

て貰ったら「中々、良い本です。」との言葉を頂きました。散髪す

る戸井田君から坂田さんの気さくさ等色々訊いてはいるのですが、

恐れ多くて「古道具坂田」には足を踏み入れることが出来ていませ

ん。なんと云っても当代随一の目利きの人です。雑巾一枚を佇まい

だけで何十万で売り切る人です。私なんぞ簡単に見透かされてしま

います。それで本題は坂田さんでは無くて戸井田君の話です。私も

長く通っているのですが、彼とはウマが合うのです。間の採り方と

云うか相槌の打ち方と云うかさり気なく訊きながら促す話の持って

行き方と云い、質問の仕方と云い、気持ちよく大笑いするタイミン

グと云い上手いなと思わせないで、いつの間にか調子に乗らされて

いる。中々の教養を持ちながら少しもそんな素振りを見せない。頭

の髪を刈られながら頭の中まで綺麗にされているようです。喋るより

喋らせる方が遥かに難しい芸当です。坂田さんも多分喋りには自信が

ある筈ですが、そんな坂田さんを手玉に取っているのが戸井田君なん

ですね。


昔日の客 関口良雄

2018 年 5 月 29 日 火曜日

腰を据えて読み始めたら止まらなくなって一気に読んでしまいました。

昭和53年に最初の出版が在ってこれは8年前の復刻版でした。この

復刻版が1万部売れたと聞いていましたが、読みながらこれほどの本

が1万部しか売れないという時代を何という事なんだろうと少し落胆

しながら読んでいたのです。40年前に出してまずまず売れたモノと

訊いてそうだろうと納得したのです。交遊録もさる事ながら、大変な

名文家の人ですね。「倅 三島由紀夫」を出したお父さんの姿が寂し

いですね。あの三島由紀夫を倅呼ばわりですからね。明治生まれの

膂力を感じさせます。徴兵忌避の話からあの日に繋がって行く一本の

道。近所の婆さんの涙が切ない。並べている本を見れば本屋の力量は

判ります。作家が欲しがる名著を扱っていたのでしょうね。なんでも

ない本でも両隣の彩で欲しい本になったり、読まなくても良い本にな

ったり。目利きの本屋の見識はある意味作家以上であり、作家もそこ

はシッカリ弁えているのですね。どんな作家も先ず本屋で習う事から

始めます。喋れて歌える人はどんな仕事でも成功するような気がしま

す。

2020年代は全体の時代?

2018 年 5 月 24 日 木曜日

1960年代は、言葉の時代。

1970年代は、実践の時代。

1980年代は、写真の時代。

1990年代は、アートの時代。

2000年代は、世界が繋がった時代。

2010年代は、個人が繋がった時代。

2020年代は、脱個人の時代?

芸術や表現と云うのは、まだ知らない他者と出会う為のツール

だったのだけど、何もしなくても繋がってしまう為、必要性を

感じなくなってしまったと云う錯覚がありますが、ホントにそ

れは全くの錯覚で、むしろ本当の距離はもっと離れてしまいま

した。ここからが真のアール・ヌーボーの幕開けなんだと思う

のです。そうでなければここから始まるのは、全体意思への参

加という事になるように思います。私はそうはなり得ないと考

えるので、古いアイテム、詩と写真とアートをもう一遍引っ張

りだす事に加担している気がします。

東北食べる通信 桜鱒

2018 年 5 月 24 日 木曜日

山女魚と桜鱒は同一魚だそうです。これには驚きました。しかしまあ、

人間でも住む場所によって呼び名が変わるというのは、いくらでもある

訳で何かの線引きと云う固定観念は世界を狭くするだけです。喧嘩ッパ

ヤイ渓流の山女魚が海に出ると穏やかなフレンドりーな性格になると云う

からこれも驚きです。狭いところに閉じ込められているからイライラして

しまう。人間も魚も変わりゃしませんね。

青森県むつ市大畑。その先にはマグロで有名な大間が有ります。「海峡ロ

デオ大畑」がチーム名。漁業を通して大畑を盛り上げようという漁師さん

達が集まりました。定置網漁で魚を取っているのですが、サケ、マスでブ

ランド化を図ろうというのが作戦です。これから事に中るのにチームで動

くと云うのは重要です。6次産業と云うのは色んな役割を担う人が集まら

ないと上手く行きません。家族だけでやろうとしても無理がある。ライバ

ルは世界中にいてチームと食材と加工技術がドンピシャに嵌らないとヒッ

トしない。しかし嵌るとずっと続くブランドになります。海峡ロデオ大畑

やって繰れそうですね。

上へ