昔日の客 関口良雄

2018 年 5 月 29 日 火曜日

腰を据えて読み始めたら止まらなくなって一気に読んでしまいました。

昭和53年に最初の出版が在ってこれは8年前の復刻版でした。この

復刻版が1万部売れたと聞いていましたが、読みながらこれほどの本

が1万部しか売れないという時代を何という事なんだろうと少し落胆

しながら読んでいたのです。40年前に出してまずまず売れたモノと

訊いてそうだろうと納得したのです。交遊録もさる事ながら、大変な

名文家の人ですね。「倅 三島由紀夫」を出したお父さんの姿が寂し

いですね。あの三島由紀夫を倅呼ばわりですからね。明治生まれの

膂力を感じさせます。徴兵忌避の話からあの日に繋がって行く一本の

道。近所の婆さんの涙が切ない。並べている本を見れば本屋の力量は

判ります。作家が欲しがる名著を扱っていたのでしょうね。なんでも

ない本でも両隣の彩で欲しい本になったり、読まなくても良い本にな

ったり。目利きの本屋の見識はある意味作家以上であり、作家もそこ

はシッカリ弁えているのですね。どんな作家も先ず本屋で習う事から

始めます。喋れて歌える人はどんな仕事でも成功するような気がしま

す。

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