木曽福島 すんきと骨折

2017 年 2 月 13 日 月曜日

奥深い山々に囲まれた平地の余りない木曽町。主な産業は林業なのですが、

平地があまり無い為、冬の食材を確保するのは容易なことではありません。

木曽福島道の駅に行きましたが、野菜はほとんど県外のものでした。

マイナス20度まで下がる冬期を生き延びるために確保する醗酵の知恵が

「すんき」なのです。すんきは赤カブの葉っぱを湯に通し前年のすんきを種に

して付け込んだもの。酸味のある漬物です。木曽への借りとすんきへの

興味で建国記念日の連休で行って来ました。東京を朝6時に高速に

乗りましたが、全国的に寒波の予報だけに割とすいていました。ほとんど

渋滞にも合わず木曽福島駅前観光案内所へ。到着は朝10時。

予約の宿は15時からなのでまずは日帰り温泉施設へ。薦められたのは、

「二本木の湯」とその手前にある新しい綺麗な温泉施設。湯が良いのは

「二本木」です。元々木曽福島には温泉は湧いていなかったそうです。

30年ぐらい前の「1億創生事業」で掘ったのが「二本木の湯」です。

この辺りの源泉となっています。天然炭酸泉、湯につかると体中が泡だらけに

なりブクブク泡が出続けます。保温効果が高いようでいつまでも体がポカポカ

します。

ひとっぷろ浴びて休憩所でまったり寛いでいると、周りの人たちが

すんきそばを食べ始めました。おぼんで配膳するときに酸っぱいにおいが

漂ってきたので、少し臆してしまったのです。しかし、興味は尽きません。

第一食べに来たのだから。でも酸っぱみが・・・・。そこで意を決して厨房に

顔を突っ込み、「済みません、すんきを食べさせてください。」「東京から

すんき食べに来たんです。」と頼んでみました。そしたら「あら、そう。」と

云って小鉢に盛ってくれたのです。かつお節かけて醤油かけて。味は少し

酸味のある漬物です。ちゃんと商売してるところなので、悪いと思い200円

出しました。そんなに要らないわよと云って100円だけ受け取りました。

そのあと腹が減ったのでおでんと持つ煮込みを頼みました。

券売機のメニュー見ていたら、なんとおしんこの「すんき」として300円で

売っているではないですか。300円ですんきの券買って「おばちゃん

さっきの分」と云って渡したのです。「生真面目なのね」と百円返してくれた

けど、またすんきが付いてきました。僕は女心に割と鈍感です。

絆し方は上手いのに粋な応え方を知らない。写真撮ろうとしたら慌てて

下向いた。二本木の湯のおばちゃんいい女です。

15時になって豚汁とお餅を振る舞ってくれました。お昼も食べたので

結構しっかり満腹になってしまいました。夜の御馳走が台無しだなという

予感は見事に的中します。

長野の減塩恐るべし。ほとんど塩気無し。

「あ~、ものたりね~」でも美味しかった。

夕食が豪勢だったのにお腹が空いて無くて、二人で酒ばかり飲んだのです。

部屋に帰る前に風呂に入ろうと空いてる浴場に行ったのです。気持ちよく

温まって服を着ていると外から女性の方の呼ぶ声がします。「お連れの方が

お呼びですよ。」恐る恐る女性風呂に足を踏み入れるとかみさんが洗面台に

うな垂れております。「どうしたの?」と訊くと風呂場でこけたと云います。

確かに風呂場の床は、真新しい檜に張り替えてあって私も少しひやっとして

いたのです。

朝、8時。気温マイナス10度。

診察してもらっている間、外で山を見ていました。

足の指がジンジン痛んだ。

宿の知り合いの整骨院の先生の見立てでは肩の付け根の奥が

折れているでしょうとのことでした。手術とリハビリで3か月から半年。

東京の病院の紹介状を書いてもらって木曽を後にします。

二人押し黙った社内は重苦しい空気が溜まっていきます。

上へ