昭和の犬

2013 年 11 月 25 日 月曜日

昭和という時代は、面白かっただろうか?苦しかっただろうか?

それぞれの家庭によって、その起きたことによってそれは様々で

あると思います。それらの様々を含めて面白かったか、苦しかったか?

犬が癒しの相棒として、その家の宿痾を鎮めてくれるということもあります。

戦後10年たってからシベリアから帰ってきた父親は、ある意味壊れていた。

そして壊れた父親を中心にその家は昭和という時代を生きて行く。主人公の

娘は、父親が起こす激昂を割れるといいます。ある意味感情のタガが外れるの

です。いつもびくびくしながら、その家から逃げることばかり考え続ける。

その娘の心を唯一慰めてくれるのが犬です。ワタシは、犬と娘の関係をその

まま、父と娘の支配と隷属という関係と同じ構図で見ていました。ただ親と

子供の関係がそんな単純な一方通行で行かないところが恐ろしいところで、

父親の精神的な歪みというのは子にも乗り移ります。真面目にキッチリコピー

します。表層的に娘も割れるということではありません。もっと心の奥深い傷を

コピーしてしまうのだと思います。どこの家にもある普通のエピソードをつないで

いくような家族の歴史ですが、明らかに普通ではありません。それがあの昭和

という時代なのだと思います。シベリアからノモンハンから南方から南京から

沖縄から心に大きな傷を負ってみんな帰ってきた。帰国して普通の生活に

戻ってすべて忘れてバリバリやって行けたのでしょうか?人間はそんな単純な

ものでは無いです。ただ黙々と働き続ける事でしか、償えなかったあの時代。

戦後の繁栄はあの時代の証人の方々がもたらしたもの。

支配と隷属としての犬。安らぎと癒しとしての犬。

奥行きのある読み方ができる話だと思いました。

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