MILES IN BERLIN

2010 年 12 月 8 日 水曜日

「MILES IN BERLIN」を高く評価する人は割と多いように思います。

ウェイン・ショーターが新しく加入して今までと大きく変わっていく最初の

ライブです。友人も最高だと云うし、よくみえるお客様(ハードバップ

大好きで私ととても趣味の合う高橋さん)も枯葉なんか最高と云います。

でも私は、これは稼ぎだけのやっつけ仕事にしか聴こえないです。

基本的にマイルスの演奏は心に響くタイプのものでは無い。

ブルースから派生したジャズのソウルやパトスをきれいさっぱり

洗い落した、ジャズの形態をとっているけどぜんぜん違う音楽の

ような気がするのです。だからハートには来ないけどうまいなと

思います。かっこいいなと思います。一渡りいろんなものを聴いて

改めてマイルスを聴くと「あ~、マイルスって凄いのね」と思います。

それでこのベルリン。早すぎる。この疾走感がカッコイイという意見も

ありましょう。でも私には、「ちゃっちゃっと終わらせようぜ」と云う感じが

すごくします。この時代同じ時期にビートルズはハンブルグに公演に

来ています。戦後17年、景気が良かったのでしょうか?

サトクリフがまだいた時代で人気に火がつき始めた最初の海外公演。

何でドイツなんだろうとも思います。傷ついたドイツの若者のこころが

ロックやジャズを求めていたのかも知れません。

実際舞台に殺到するドイツの若者の頭をジョンが「このナチ公、

クソ野郎」と蹴飛ばしながら演奏してそれをまた嬉々として喜んで

蹴られていたと云うのは有名なエピソードです。

マイルスとジョン、とてつもなく大きな巨人ではありましたが、世界の

見せ方はまったくの正反対でした。

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